「区間分析による評価と決定」の刊行とその特徴

人の感性を分析するのに適した区間分析の本が9月7日から配本になりました。本手法は著者筆頭の田中英夫先生が、あいまいな問題はあいまいな手法で解くという考え方から考案したものです。約20年前から提案している手法です。しかし、この手法はニューラルネットワークなどのように探索型の線形計画法(Linear Programming)の解法を用いているので、誰でもが簡単に使えるものではありません。そのため応用研究が進展しませんでした。5年程前に私がエクセルを用いて自動的に計算する方法を考案しました。詳しくは次回に説明します。その後、数件の事例研究を行いました。次に示す優れた特徴があります。デザイン評価に適用できる区間回帰分析と区間AHPについて記します。
(1)区間回帰分析: 少ないサンプルを対象にしている。デザイン評価ではサンプルは集まっても30〜40である。多重共線性も区間である程度吸収する。質的と量的、その混合のデータでも解ける高い柔軟性がある。つまり、重回帰とⅠ類に相当する。説明変数の条件を追加できる。例えば、説明変数がすべて正の値などで、事例としては、目的変数「好き」に対して、説明変数の「香り」はマイナスの値「香りが良くない」になる場合はありえないので、それを正の値で解を探索する。これは従来の手法にはない大きな特徴である。
なお、基本的には線形式のため、区間値がゼロの場合、重回帰分析と一致する。但し、サンプル数が多いと区間が広がるので適していない。データの内容によるがサンプル50以内が目安。
(2)区間AHP: デザインや感性でよくみられる半順序関係(A>B, B>C → A