大学専門家の役割

昨日で、大震災から3ヶ月を向かえて、福島原発事故の状況が改善されていない雰囲気である。海外から日本の情報公開が不透明であることも強く指摘されている。現在、毎日発表の原子力安全・保安院の会見には海外メディアは殆ど出席していないという。原発のように、当然であるが、極めて専門性の高い事故にはその国の超一流の専門家が報告をすることが世界標準のようである。米国のスリーマイル島原発事故では、毎日、原子力安全委員会の委員長(誤記-原子力規制委員会の部長)が報告していた。そのため、地元の人々だけでなく世界中のメディアもその発言に信頼を置いていた。日本の保安院会見担当は東大法学部出身の官僚で、東電は現場の実務者である。そこで、今回の日本の原子力安全委員会委員長の行動はどうかというと、「‥可能性‥」でなく「‥ゼロ‥」と発言したとか、本当に些細なこと(保身では?)でメディアで話題になる程度である。
詳しくは、有名な中部大学の武田邦彦氏(東大出身)の近著にも書かれているが、日本では御用学者(特に東大関係という、日本人は権威に弱いので、官僚にとって都合がよい?)が蔓延している。官僚に都合の良い意見をしてくれる物分りのよい先生方である。企業時代に、旧郵政省の次世代通信関係の委員会に参加したことがあるが、その委員長(東大)は殆ど官僚から出された資料の司会進行役程度のものであった。また、数十億円のプロジェクトのリーダー(京大)でも、定期会議に参加するだけで、役割も司会程度で驚いたことがある。プロジェクト内容に対する意見や指導も殆どされていなかった。体験した2件だけで全てを普遍することはできないが、今日こそ、自戒を含めて、大学専門家の役割を痛感した次第である。人々の生命と安全に関わることであるので、原子力安全委員会の委員長には、もっと前面に出てきて欲しいと願うばかりである。なお、サイトで問題になったが、3月11日の後、すぐにその緊急の委員会が開催された記録がないという。