「いい加減」なインタフェース

ヒューマンインタフェース学会論文誌において,「「いい加減」なインタフェース」と題した論文特集を企画していると明治大学の小松先生から論文投稿依頼の案内が学会メールで届きました。その主旨が興味深いので、下記にメール内容を転記します。

ヒューマンインタフェース学会論文特集----「「いい加減」なインタフェース」への論文投稿のご案内
(2015年5月発行予定)
人と機械との界面に位置する「インタフェース」は,人の操作を漏れなく機械に伝達し,機械からの反応を漏れなく人に伝達することが求められてきました.その一方,近年の情報環境の多様化,情報端末の高性能化によって,ユーザの操作意図は多種多様化し,ユーザの欲求に応えるために情報端末は 膨大な量の情報を提示することが可能となりました.しかしながらユーザである「人」の情報処理能力には時間的,空間的または認知的な限界があるため,ユーザの欲求に応えるにはとにかく大量の情報を提示すればよいという訳ではないことは明らかでしょう.さらに,ユーザは「こういうイメージを 情報機器に伝達したいのになぁ...」と思いながらも,具体的にどのようにしてその意図を情報機器に入力してよいのかわからないといった現象も目 に付くようになってきました.
つまりこれからのインタフェースには,人と情報機器との間を「いい加減」に結びつける能力が求められるのではないで しょうか.そこで本論文特集においては,そんな「いい加減」なインタフェース研究に関する論文を幅広く募集いたします.ただし本論文特集で扱う 「いい加減」とは,「大ざっぱで徹底することなく,中途半端なさま」というネガティブな意味ではなく,「ちょうどいいあんばい」というポジティブ な意味に注目します.
このような考え方によって,従来のような厳密に定義された入力方式のみを備えているのではなく,ユーザはある程度の自由度を 持って機械への入力を行うことができ,必ずしもそれに対する応答を予測することが容易ではないものの,ある種の驚きや発見を伴った出力が得られる ような効果をインタフェースに対して期待することができるようになります.
本論文特集における具体的な研究テーマには,大きく分けて三つのアプローチがあると想定しています.

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【その1】→ユーザに対する「いい加減」な情報提示方法
例.バイオフィードバック,検索結果の表示方法,対話エージェント,Diminished Realityなど
【その2】→ユーザの「いい加減」な入力を補完する情報入力手法
例.携帯端末などの情報機器上での入力手法,不随意に表出してしまう情報の入力としての再活用,誤入力認識など
【その3】→ユーザの驚きや発見を誘発するための「いい加減」な精度での予測手法例.ユーザの要求に対し,それを拡大解釈した予測や,あえて予測評価値の高い結果を見せないことで,驚きを誘発させるような予測.
もちろん,上記以外の研究テーマであっても,「いい加減」なインタフェース研究に貢献できる論文であれば大歓迎です.皆様の投稿をお待ち申し上げ ております.なお,特集論文の査読プロセスおよびスケジュール管理は「いい加減」に行う予定はありませんのでご注意ください!

論文投稿締切日  2014年10月31日(金) 必着