相同モデルによる人体寸法

2月25日に東京の秋葉原で開催された人間生活工学研究センター(HQL)主催の「相同モデル活用セミナー」の出張報告(私は人間工学専門家の資格を持っています)をします。人間工学といえば、人体寸法計測が大きなその歴史のひとつです。戦後、駐留軍の住宅を建設するのに統計的な米国人の寸法データが日本導入されたのが最初と記憶しています。戦後復興が終わると日本人の寸法の必要性が高まり、計測が容易な自衛隊員の人体寸法が使われるようになりました。高度成長期に入ると多くの企業で必要な個別部位の精密な寸法計測が盛んになりました。有名なところでは、下着メーカのワコールが挙げられます。その後日本国としてきちんとしたデータを計測しようという動きが始まり、レーザー測定技術の登場により容易に測定ができるようになったことから、社団法人のHQLがバスによる全国キャラバン隊的な広い地域の子供から高齢者までの人体計測を行ないました。今日、データは計測したが、それを製品開発に結びつけるためには、新たな知恵が必要となってきています。つまり、人体寸法(ながさ)のデータ提供が中心で、人体形状(かたち)のデータ提供と利用が進んでいなかったのです。何千、何万というデータがあるだけでは、利用するには多すぎます。その形を特徴付ける重要な少数の寸法データを求める必要があります。そこで、適用されたのが、多くのデータから重要なデータを絞り込む統計的な手法である主成分分析(多次元尺度構成法も)です。この手法で得られたのが相同モデルです(会場の展示風景参照)。現在、IT化が進んだことから、例えば、運動靴のメーカはユーザーの足のデータを世界中で毎日計測しています。その膨大なデータを相同モデル視点から統計処理して、その結果を、新しい運動靴を購入する人に適したものを提供するサービスに活用されています。紳士服メーカや健康器具メーカにも適用が開始され始めています。詳しくは「相同モデル」でネット検索してください。