統計学を学ぶのは難しい

感性デザインの研究と講義を担当していると、どうしても統計学のお世話になる。大学生らは共通教育で統計学を学んでいるのだが、その理解度は芳しくない。彼らの話を聞いていると、基本的に教える側の問題が多いと感じる。教員の教える技量が高くないと思うのだが、彼らへの非難だけでは建設的ではない。私の想像だが、殆どの統計学の教員は実務経験者でないのではないかと思う。実務からの必要性から統計学が生まれたのにもかかわらず、・・・。また、統計学側にも問題がある。現在の統計学は難解な推測統計が主流である。個人的には分かりやすい記述統計学から教えるべきと考える。
このブログを読んでいて同感の方々、特に統計学を学んだがいまひとつよくわからないという人には、オーム社のマンガでわかる統計学シリーズ3作を推奨する。マンガといって馬鹿に出来ないしっかりした内容である。内容も比較的高度である。統計学に挫折した方々には、まさに「This is it!」(これが欲しかった)である。その因子分析編で、第1章「アンケートの基礎知識」、第2章「調査票と質問」は、本当に分かりやすく卒研や実務に統計学を用いようとする方々には是非一読を推奨する。どんなに立派な統計学の手法を用いても、アンケートのデータがいい加減だと良い結果を得られないことはご存じの通りである。なお、本シリーズを紹介してもらったのは、親しくしている首都大学東京の中山先生(行動計量学の専門家)からである。専門家も一目を置いている。
ところで、エクセルのVBAで制作していた因子分析のプログラムをJavaプログラムへの変換作業で、因子分析編を読み直していて、上記を強く感じたのでコメントさせて頂いた。なお、分かりにくい主成分分析と因子分析の相違も分かりやすい例題で明快に解説している。