米外交官ケビン・メア氏の本を読んで

共同通信が報道した「沖縄はゆすりの名人」という発言で、一躍有名になった元米外交官ケビン・メア氏が、共同通信の石山記者に対する反論のために書いた本(新書、題名「決断できない日本」)である。その濡れ衣を晴らすために、この事件で辞表を自ら出して退職したメア氏であるが、本を読んでその事件以外にも、日本の政治システムが硬直していることが沢山の事例で迫ってくるものがある。特に官僚組織の硬直化は事例から目に余るものがある。アメリカ側から見た日本の安全保障の課題について、これほど率直に、かつ理論的に、また、親日家(妻が日本人)として、日本人に対する期待の強さを感じ、率直に指摘している。また、現在のマスコミが取り上げない視点が随所に載っている。目から鱗である。詳しくは、アマゾンの本の書評に18名のコメントが記載されているので、それだけでも読むことを推奨する。
この本の読者の殆どが指摘しないと思うが、46頁に1985年の日本航空御巣鷹山横田基地に近い)の事故で、夜間スコープを装備している最新のヘリ部隊が夜の事故に直行できると日本政府に提案したが、信じられないことに断られてしまった。後に救出された少女が暗くなる前には沢山の人の声を聞いたとの証言から、夜間部隊が救済に行ったら、助かった命も多かったと述べていた。その際、米軍の担当者が本当に怒っていたと書いてあった。国民の生命を何とも思わない官僚たちの愚かさと無責任体質を垣間見た。
なお、ゆすりの件に他対する反論については下記のサイトを参照してください。この本で、この事件以外の我々に対する指摘が唸るものがある。沖縄と日本との関係も、本当に詳しく書かれている。
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/08/post-b987.html