直木賞作品「下町ロケット」の読後所感

今月の芥川賞の発表で田中氏の受賞発言がメディアで話題になった。その関係で、その作品「共食い」が20万冊近く売れているという。若い頃は小説をよく読んだ。読み始めると止まらなくなるという悪い癖があるので、最近では硬い内容の本が中心である。そのような中、前回の直木賞受賞の「下町ロケット」が、特許関係をテーマに小説にしていると新聞で読んで興味を持った。私も還暦になったので、年金生活に入ったら小説を書きたいと思っている。その将来の参考になればと思い本を手にした。
作品「下町ロケット」の内容は、ロケット開発のキーデバイスとなる水素エンジンの給油バルブの特許を巡る中小企業(佃製作所)と大手の企業(帝国重工)との特許論争の話である。国の研究機関に勤めていた研究者が親の会社(佃製作所)を引き継ぎ、最先端のバルブ特許を帝国重工にタッチの差で取得した。帝国重工は何とかしてその特許の権利を買い取ろうとするのだが、結果的にはかなわなかった。帝国重工の前に、佃製作所と競合する会社が佃製作所の多くの特許を入手するために、その会社を買収するための特許裁判もあり、そのような複雑な内容が読者を引き込む形で展開されていた。企業の特許を体験している私から見ても、よく調べられたものであった。本の後半では、佃製作所がバルブの製品を帝国重工に納品することになり、その際の品質管理の内容も興味深かった。
特許の勉強にもなるとともに、メーカーのものづくりの裏方がよく理解できる。若いサラリーマンや学生諸君に推奨する。昨年、衛星放送でドラマ化されているので、そのDVDを購入するのもよい。但し、ドラマの方は雑誌に連載された内容のもので、単行本は、人間関係を少しシンプルにしたと、YouTubeで作者(池井戸 潤)は述べていた。400頁以上もある本であったが、先々週の数日間の出張の合間に読んだ。
今、明日の企業セミナー講師やその他の研究打ち合わせで、横浜の自宅でこのブログを書いている。昨日から、619頁もある「グーグル ネット覇者の真実」(2011.12.30刊行)を読み始めた。はじめてグーグルの内部インタビューを認められたスティーブン・レヴィ著の本である。刊行されて間もないが、ネットでの評価も高いので読み始めた。その動機は、来る2014年からのHTML5の「Web application」の時代に、グーグルを知らずして、新しい時代は読めないと考えたからである。
なお、その分厚い本のマラソン所感を、私のツイッター(design_kinoue)に、逐次アップするので、興味がありましたらフォローしてください。ところで、今週から、遅ればせながらFaceBookにも登録しました。掲示板、ツイッターやブログと発信するメディアが増えて時間的に対応できないと思っていましたが、FaceBookで私が見つからないというメールが来てやっと始めました。感想としては、ブログの拡張版的なものですね。