トマ・ピケティの『21世紀の資本』が好評

トマ・ピケティの『21世紀の資本』が、世界的に売れているとテレビや新聞に載っている。ただ、700ページを超える分厚い本のようで、読むには、この年末年始の休みが適している。しかし、忘年会や新年会、家族サービスなどでそんな時間が取れない人たちがほとんどであろう。
私も雑誌的な本の10頁程度の原稿も新年早々が締め切りである。学会発表の予稿原稿もある。
そのようなことから、よく拝見させて頂いたいる有名な経済学者の高橋洋一教授のネット・コラムを次に引用する。
つまり、現在の資本主義は、必然的に格差が拡大する仕組みになっている。そのため累進課税などの方法で、格差是正に取り組まないと、大きな社会不安が拡大すると警告している。それらが、データで示されているので説得力が高い。ノーベル賞受賞の経済学者の説を覆す論調となっているのも注目される点であろう。

■本書のエッセンス(格差拡大の証明)だけをいえば、おそろしく簡単だ。資本収益率(ほぼ4〜5%)が所得成長率(ほぼ1%〜2%)よりも高いことを、各国の歴史データで示している。これを高所得者と高資産保有者がますます富むことの理由に挙げ、多くの国での格差拡大を証明したのである。格差社会を好まない彼はこの現状を打破するため、資本収益率を下げることが有効と考え、資本課税の強化を主張する。それも国際協調のもとですべての国で課税強化策を採用すべしという政策提言になる。■

■これらの主張は、かつてノーベル賞受賞の経済学者であるクズネッツがいっていた逆U字仮説を覆すものだ。つまり、経済成長について、はじめは格差が拡大するが、一定レベルを超えた先進国では経済成長に伴い格差が減少する、との主張に真っ向から反論している。1930年〜80年にかけて格差が縮小していたのは一時的現象であって、資本主義では、資本収益率が所得成長率より高いのが常で、先進国でも格差は拡大するというのがピケティの主張だ。■

■日本のg(所得成長率)はここ二十数年間で世界の最低ランクだ。まずデフレ脱却して、2%程度の物価上昇にするのは、g(所得成長率)を高めることの第一歩である。g(所得成長率)が高まれば、累進課税などによって、格差の問題を解決するのは、それほどたいした話でなくなるだろう。■

引用サイト
●全く退屈しないデータ満載の歴史書 ピケティの『21世紀の資本』を読む
http://diamond.jp/articles/-/64271

●【日本の解き方】ピケティ氏『21世紀の資本』なぜ人気? 日本経済への見方は…
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141227/dms1412271000004-n1.htm