米国のSBIR法によるイノベーション体制の成功

創設者のロナルド・ティベッツは、SBIR(Small Business Innovation Research、1982年成立)プログラムは「初期のイノベーションのアイデアベンチャー企業等の民間の発明者にはリスクが高すぎるアイデアに資金を供給すること」だと述べている(引用、ウィキペディア)。
当時、日本の製造業に敗北をした米国で、産業の再生するには、彼はイノベーションを「ブレークスルー技術は科学から生まれる」という視点から、大学や企業にある科学的なアイデアをSBIR法を基に制度的なプログラム(所謂、「スター誕生」システム)を構築した。
このSBIR法と呼ばれるイノベーション支援制度を立ち上げ、大学の博士課程修了程度の若者がベンチャー企業を立ち上げやすいように、国家的に支援してきた。これが大成功して、ITや生命科学ではアメリカが圧倒的に世界をリードしている。
そのキーポイントが、イノベーションの「目利き」(イノベーション・ソムリエ)の育成である。
詳しくは下記の文献に譲る。その制度的な要因については『第二章 なぜ米国は成功し、日本は失敗したか』で明らかにしている(アマゾンのカスタマーレビューも参照)。
米国のSBIR法によるイノベーション体制の成功を海の向こうから眺めた日本政府も日本版SBIR法を導入したが、イノベーション・ソムリエのない制度のため、単なる予算のばらまきに終わっているという。
その背景には終身雇用制の問題もあるのだが、すぐに利益を生まないとみなした企業の中央研究所体制の崩壊の後の新たな科学研究体制の主導を依然として大企業に求めていることも遠因であろう。もちろん、下記のサイトにあるように、大企業でもプログラム的に新たな試みも行われているが、、、。
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【参考文献】山口 栄一 (著)、イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書) – 2016/12/6
●日立・三菱電機が挑む「研究開発」改革の全貌
http://toyokeizai.net/articles/-/152769