意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論

意識についての「統合情報理論」がとくに有名であり、下記の書籍もその理論をよく説明しているという。アマゾンのカスタマーレビューから引用する。
■統合情報理論は、簡単に言えば、脳などのシステムが処理する (i) 情報の豊富さと (ii) 統合性によって、意識の発生を説明しようとする理論である。
具体的に述べると、第一に、意識をもつシステムは、豊富な情報を扱う能力をもち、多様な状態を識別できるものでなければならない。たとえば、視覚経験をもつシステムは、「明」と「暗」というふたつの状態だけでなく、「赤い」「青い」「壁に絵がかかっている」など無数の状態を識別できるのでなければならない。しかしそれだけでなく、さらにもうひとつ重要なことがある。第二の条件として、意識をもつシステムは、そこで扱う情報を統合しうるものでなければならない。
つまり、システム内の個々のユニット(たとえばニューロン)がバラバラに情報を処理するのではなく、ユニットどうしが結びつけられ、システム自身が有効な情報処理単位としてひとつにまとまっていなければならないのだ。ただし問題は、(i) と(ii) のバランスにある。一般に、システム内のユニットが強く結びつけられ、システムの統合性が過度に高まると、そのシステムは少数の状態に落ち着きがちであり、それが扱いうる情報の多様性は低下してしまう。
それゆえ、意識をもつシステムは、適度に統合的であると同時に、多様な情報を処理する能力も保持していなければならないのだ。そして、そんなふたつの条件を満たすシステムこそがまさに意識をもつ、と著者らは主張する。すなわち、「意識を生み出す基盤は、おびただしい数の異なる情報を区別できる、統合された存在である。つまり、ある身体システムが情報を統合できるなら、そのシステムには意識がある」(126頁、第5章)。

●意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論
ジュリオ・トノーニ (著), マルチェッロ・マッスィミーニ (著), 花本 知子 (翻訳)

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■サイト検索すると、理化学研究所の大泉先生の専門的な解説がある。なお、意識の統合情報理論とは、精神科医神経科学者であるジュリオ・トノーニによって提唱された意識の発生を説明する理論である。 ウィキペディアより

●意識の統合情報理論
http://www.brain.riken.jp/labs/mns/oizumi/CNS_oizumi_2014.pdf