グーグルの本のマラソン書評(第3章)

「グーグル、ネットの覇者の真実」の第2章は、サイト検索機能を活用した広告でも従来の広告業界の常識を覆すことをはじめた。さらに第3章「邪悪になるな―グーグルはどのように企業文化を築いたのか」では、労務管理や人事関係に大学の研究所のような斬新な制度を導入した。また、株式公開でも常識破りの対応、また社員の業務管理にも斬新な定量的な手法を導入するなどペイジやブリンの人物像にも迫る。

■三章へ。"邪悪になるな"。ペイジとブリンが幼年期に受けたモンテッソーリ教育を知らなくてはグーグルを理解できない。それは、子供には自分が興味を持ったことを追求する自由を与えるべきという考え方。彼等はいつも"どうしてそうじゃなきゃいけないんだ?"と尋ねる。これが変革の源泉だ。p182
■権威を疑うように訓練されたモンテッソーリ教育による革新的アイデア。社内で過ごす時間の20%は業務外のプロジェクトに遣えるというルールが、グーグルニュースをはじめとする重要なサービスを生み出した。また、家庭的な自由な職場環境も後押し。バランスボールやお菓子の散乱する部屋、・・・。
■グーグルの机や椅子は倒産した会社のものを購入。備品には徹底に倹約。そのバラバラ感が大学の研究室のよう!その方が、仕事がはかどる事に。職場は家庭的が良いという信念から、食事や喫茶は全て無料。大学のキャパスそのまま!音楽会、セミナー、整体、など、何でもあり。従来の職場の概念を覆す!
■入社試験は、実績や面接だけでなく、大学検定試験の点数も重視。大学院の博士課程の試験に類似。そのため秀才だらけ、また、社内プレゼンは学会発表や公聴会のよう!ただ、研究者集団と彼らを支援するスタッフの二つの階層が発生、さらに営業部隊も格下的にみられた。p.214
■会社のスローガンを設定する委員会が設置。邪悪になるな"Don't Be Evil"に、すったもんだで決定。この背景に、MicroSoft(MS社)みたいにならない事。社内にもたらした効果は絶大、共感。例えば、誰かが邪悪っぽいと発言するだけで、提案が棚上げに。しかし、当初は、社外から大反発。
■グーグルの社員は伝道者、金のために働いているわけでない。開発した技術は良い世界を創るため。データ主導の経営スタイルをとるリーダーシップ。他の会社を導く光となる。と言うような事を支援するモットーとして、「邪悪になるな」が後押し!彼らの理想主義が反映。p.222 新興企業から巨大企業へ!
■2004年にグーグルは、新規株式公開(IPO)を迫られる程、大きな会社に。ブリンとペイジらは、ここでも、常識破りな行動に!なんと、IPOも平等なオークション方式を採用。また、投資家に個人的な手紙を書くと言う驚きな行動。先日のFaceBookIPOでも、手紙が公表に! p.233
■グーグルのオーナーズ、マニュアルの文章。私たちの野望はより良い世界をつくる企業になること。短期的な収益を犠牲にしても世界にとってためになることをする企業になった方が、長期的に株主などに利益をもたらすと固く信じている。しかし、この企業文化に投資家が反発!ネガティブキャンペーンも。
■ペイジやブリンらは、投資家に説明するロードショーにも不参加。加入者が安く入札する逆競り方式を考案、しかし、凄い反発に。従来とは常識破りの資金調達に、子供たちの集団という印象に!落札価格85-95ドル予想に、初日は100ドルで始まる。1年後280ドル、3年後700ドルを突破。
IPOにより、グーグル社員は一夜にして大金持ちに。しかし、謙虚を期待された。株価上昇で楽観的気分が革新的アイデアに慎重になった。つまり社員は保守化した。また、初期の社員と後から入社の社員との間に格差が生まれた。p.241
■グーグルは企業規模も大きくなり、管理者のプロダクトマネージャー(PM)が必要に。しかし、ペイジらは、フラットな組織を希望するが、そうも行かなくなり、専門家を面接するが採用せず。エンジニア出身をPMに育成。文系の人材を見下したことから。本当に技術志向の会社。p.249
■社内チームの肥大化を心配したので、それが目立つと、より小さいチームに分解。人材の配属先は、70が検索と広告、20がアプリケーション、10がその他。これが魔法の方程式! グーグルが試したマネジメント手法の1つがOKR(目標と主要な成果)。グローブがインテルの経営に考案した手法。
■OKRは、例えば、自分が何をやりたいかでなくて、作業をセグメント化し、どんな結果をいつまでに出せるか、時期を決めて定量化するという手法。グーグルでは、定量化できるというのは大きな魅力。年に四回、部門ごとにOKRの進捗状況を査定する会議を開催。OKRは必ず定量化される必要があった。
■OKRの具体例は、Gメールを成功させるでなく、9月にGメールのサービスを開始させ、11月までに100万人のユーザーを獲得する、といった具体的な時期や数字を盛り込む必要がある! 理想的な設定目標は70%~80%の達成。100以上の目標達成の成果は、誠実でないと評価された。p.253
■先週末から風邪気味で体調を崩しました。それに花粉症も重なり、是不調でした。そのため、グーグルの本の書評が滞りました。前回は、仕事の透明性と定量化に寄与したOKRの手法についてまででした。これはペイジやブリンも行っている。それを社員が閲覧できた。社員全員が皆の仕事を閲覧できる驚き!
■その閲覧はMOMAと呼ばれるイントラネットで可能に。更に、会社が、今何を考え何を行っているかに関する情報をプロダクトデータベースを通じて自由にアクセス可能に!大企業でも新興企業の雰囲気を維持している驚き!、しかし、外部への情報漏洩は病的までの恐怖心を抱いていた。p.254