「区間分析による評価と決定(仮)」の出版原稿

昨日、標記の原稿を海文堂出版に送付しました。刊行は今夏頃を予定しています。本書は田中英夫先生が広島国際大学を定年退職したのを記念して企画したものです。予定よりも2年も遅れましたが、なんとか刊行の最終段階に入りました。田中先生からラフ集合理論を教えてもらいましたが、その際に、田中先生が提唱する区間分析の考え方にも興味を持ちました。この手法は、下記にもあるように、人の曖昧さを扱うファジィ理論の延長上でより簡潔にした手法です。私の専門のデザイン評価にも応用できると直感し指導を仰ぎました。しかし、応用するには大きな壁がありました。解法がニューラルネットと同じような探索型の線形計画法で、手法をプログラム化するには極めて困難でした。そして、エクセルのソルバー機能で解けることが分かったのですが、そのセルへの入力作業が大変で、手法の普及にはもう一つの壁がありました。マイクロソフトのサイト内を検索してマクロでソルバー関数を記述することが分かり、データ範囲をドラッグするだけで自動的に計算するマクロを完成させました(本紹介のサイトから入手可能)。これで、応用研究の手段が手に入りましたので、本出版を企画した次第です。私は、その間に数件の応用研究を学会で発表し投稿論文にしました。最後に、田中先生が執筆した巻頭言の書き出しの一部を引用します。
『筆者はファジィ・システムの研究を約40年行って来た。ファジィ集合は概念(意味)のあいまいさを表している。実数上のファジイ集合はファジィ数と呼ばれ、例えば、「約2ぐらいから約5ぐらい」はファジィ区間と言える。このファジィ区間は「約2ぐらい」と「約5ぐらい」とを度合いで定義しなければならない。この定義は個人によって異なるので、通常の区間の方が受容し易い。このような理由でファジィ数より、区間を用いるようになった。ファジィ回帰分析は1982年に提案し、その後500編以上の論文が発表されている。しかし分かり易さのために、1997年ぐらいから区間回帰分析という題名で論文を書き、2005年ぐらいから、応用統計の分野で区間回帰が次第に認知されるようになった。例えば、2007年のISI (International Statistical Institute:1853年設立の最古の統計学会)国際会議に招待発表をした。あいまいさを区間で表現する方法の便利さ、理解の容易さ、実用性の利点などを考え、本書を企画した。・・・』