二人のパネリストからの所感と回答

パネリストの安齋さん(三菱電機)から所感が届きましたので報告します。【そもそも操作とは直感ではないのではないかとの意見もありましたが、例えばご飯を食べる際には無意識に箸という道具を使う行為が伴います。何かを操作する場合でも、ほとんど無意識に使っていることもあります。慣れしたしんだ操作方法と同様の、直感的に理解・操作できるインタフェースを生み出すとは不可能ではなく、すでに存在もしています。今回は、直感的インタフェースをウェブサイトに関わる立場から、”シームレス”というキーワードで兆候等をまとめてみました。今後は、もう少し整理して方向性などを検討してみたく考えております。】
もう一人の東海大学の広川先生からは、「直感的インタフェースが現実の生活に基づく限り、デザイナーの新しい提案は受け入れられないのではないか」という質問に対する回答が届きました。【新しいデザインが最初は受け入れられなくても、やがて現実の一部になって行く事例がいくらでもあることを考えれば、デザイナーの新しい提案は直感的インタフェースのデザインにおいても可能だ。ユーザーの保守性(経路依存性)とデザイン(デザイナー)の創造性の相克について、ユーザーがデザイン(デザイナー)に追いつく場合と、デザイン(デザイナー)がユーザーに追いつく場合とに分けて考えてみよう。ユーザーがデザインに追いつく例として、GUIの導入がある。最初、ユーザーはマウス操作に面食らい、学習に時間がかかった。クリックやドラッグするときの身体動作は、現実生活で外界を制御する動作の一部でしかなかったからである。しかし、画面表示がCUIと比べて格段に学習しやすかったため、現実の生活で定着した。ユーザーが新しいデザインに追いついたといえよう。直感的インタフェースの視点からは、画面表示にメタファを利用したため、ユーザーの現実とメンタルモデルの差が少なくなった。しかし、マウス操作が自然な操作ではなかったため課題が残った。
一方、ユーザーにデザインが追いつく例として、指の直接操作を可能にするタッチパネルの開発がある。これによって、ユーザーが現実生活で身に着けた自然な指の操作を可能にした。しかも、マウス操作のクリックやドラッグのメンタルモデルをタッチパネルタップやスライドに置き換え、経路依存性を取り込んでいる。デザインがユーザーの現実に合わせたためといえる。結論として、デザインの新しい提案が現実にないものでも、やがて受け入れられる可能性を持っている。新しいインタフェースデザインがユーザーに受け入れられるか否かの鍵は、現実やメンタルモデルを分析し、インタフェースデザインの知識に生かせるかだ。】以上、校正せず載せました。